仕事術 起業 運について

【本紹介】『百円の男 ダイソー矢野博丈』

今日は、『百円の男 ダイソー矢野博丈』大下英治(著)を読みました。

本書は、ダイソー創業者の矢野博丈さんに長年取材し、ダイソーの歴史や考え方について書かれた本です。

ダイソーはどうやって生まれたか?

トラックで雑貨の移動販売をやっていた矢野さんがある日、忙しさのため伝票を見る時間も惜しく、

とっさに100円でいいと答えたことがあったそうです。

客を待たせるわけにいかず思わず口に出たのが100円だったといいます。

それが思いの外評判が良かったため100円均一で販売するように。

それがダイソーの100円均一の始まりだといいます。

100円というハンディが結果的に品質工場につながったといいます。

サイゼリヤの話でもそうでしたが、制約条件があるから創意工夫が生まれて突き抜けることができるのだと理解しました。

自分の儲けを考えていたら商売なんてできん

1970年代のオイルショックで小売業界の景気は悪くなっていました。

そこであえて「どうせ儲からんのだし、いいもん売ってやる!」と決意したそうです。

面白いですよね。

それからは利益を度外視し原価70円を80円に上げたり、時には原価98円の物を100円で売ったこともあったといいいます。

1個売って利益が2円ですから、とても儲かりそうにありません。

しかし、この「お客様第一主義」が結果的にダイソーの成功を決定づけたようです。

ダイソーでは、100円で売って50円利益が出る商品より、1円しか利益が出ない商品を重視しているといいます。

1円しか利益が出ない商品の方を多く売るようにしていると。

それが結果的に大きな売上とたくさん販売することにより利益をもたらすのです。

目標は小さくていい

矢野さんは「目標は小さくていいのだ」といいます。

会社の規模を大きくすることにも興味がないそうです。

また売上目標や利益の目標を掲げることもありません。

トラックでの移動販売をやっている時代「夫婦がふたりで一番売るトラック」という身近な目標を掲げたそうです。

目の前のことを一つずつコツコツ頑張るのが成功の秘訣だそうです。

こういう地味で面白くないことが真理なのだと、わたしは思います。

逆にいうと地味で面白くないことを長年継続できると、人と違う成果につながるのではないでしょうか。

火事の結果はふたつある

あるとき、矢野さんの自宅と商品の在庫が全ても火事で燃えてしまうという事件がありました。

印象的な言葉があったので引用します。

火事の結果は、ふたつある。ひとつは「変な悪縁のつきはじめ」。もうひとつは、「悪縁を焼き捨てる」

きっと昔の人の教えなのでしょうが、面白い考え方だと思ったのでメモしていました。

少し恐ろしいですが、こういう昔の人の知恵には経験則から何らかの真実が含まれているものです。

覚えておきたいと思います。

矢野さんの場合は、「悪縁を焼き捨てる」火事だったようです。

この火事で在庫が燃えてしまったことをきっかけに大手の百貨店への出店し、

ビジネスが大きく成長していきます。

矢野さんは「火事に感謝」したそうです。

社会人として必要な3つのこと

矢野さんがダイソーの新入社員に入社式で語った「社会人として必要な3つのこと」もとても勉強になりましたので紹介します。

1つ目が感謝力。まわりのひとに感謝する力をつけること。2つ目が勉強と努力を続けること。3つ目が運です。

実社会では運がないと難しいのだと、矢野さんはいいます。

運をつけるにはどうするかというと、やはり笑顔のよい人、そして前向きになって働く人、

(中略)

運は、よいことの積み重ねです

運は、よいことの積み重ね」「運というのは考え方

どうぞよい運をご自身の人生に吹き込んでください

これらのことばを、胸に刻みたいと思います。

1日1万回、ありがとうと心の中で繰り返した

以上、『百円の男 ダイソー矢野博丈』大下英治(著)をご紹介しました。

矢野さんは、2024年2月に80歳で亡くなったそうです。これを書いている今から3か月前です。

ワタミの渡邉美樹さんが、矢野さんを偲ぶ記事がネットにありましたのでご紹介します。

最後にその記事を引用して終わりたいと思います。

矢野さんは「岩手県陸前高田市のワタミオーガニックランドに作った野外音楽堂の建設費用を全額寄付」したそうです。

昨年、その完成式典があり、矢野さんがスピーチをされたそうです。

「みなさん大変でしたね。私は、貧乏のどん底を経験しながら運命の女神を恨み続ける人生でした。しかしあるお坊さんが、人生にはいろいろなことが起きるけど、無駄なことは1つもありませんといった。その言葉を聞いた日から、感謝をはじめた。どんなに辛いことがあっても、ありがとう、ありがとう、感謝しますと口にするようにした。1日1万回、ありがとうと心の中で繰り返したすると、不思議といいことが起きるようになった。だから皆さんも試してみてください」

ダイソー創業者・矢野博丈さん「人生好転の秘話」 感動的なスピーチを紹介」IT media ビジネス onlineより

優しいお人柄が伝わる素晴らしいスピーチだと思います。

1日1万回、ありがとうと心のなかで繰り返す

明日から実践するのは簡単ではないと思いますが、そうした心持ちになることが大事なのだと思います。

わたしも感謝の心を忘れずに明日から生きていきたいと思います。

-仕事術, 起業, 運について
-,