あらすじ
『センス・オブ・ワンダー』とは、アメリカのベストセラー作家であり海洋生物学者のレイチェル・カーソンのエッセイです。著者が亡くなった1年後の1965年に、友人たちの手で生前の著者の原稿を整え出版されました。いまから60年以上前の本です。
冒頭を引用します。
「ある秋の嵐の夜、わたしは一歳八ヶ月になったばかりの甥のロジャーを毛布にくるんで、雨の降る暗闇のなかを海岸へおりていきました。」
レイチェルが幼い甥を夜中の海に連れていったり、一緒に星を眺めたり、あるときは森に出かけて木々や動植物の姿を楽しみます。
そうした自然の素晴らしさの感じる好奇心(センス・オブ・ワンダー)が、人間には必要なのだと著者はうったえます。
好奇心を持て!
カーソンの「センス・オブ・ワンダー」という考えは、「神秘さや不思議さに目を見はる感性」とされています。
よくわからない表現なのですが、わたしなりに言い換えると
「好奇心を持て!」
ということだと思います。著者はいいます。
大人は好奇心を忘れている、それに対して子供はいつも新鮮な好奇心(センス・オブ・ワンダー)を持っている。
本書の名言
本書からわたしが特に気に入った名言を紹介します。
この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、(中略)つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になる
多くの大人が倦怠を感じるのは、60年前のアメリカでも同じだったようです。まるで現代の私たちのことを言われているように感じました。
60年前の本とは思えないです。
つまらない人工的なものに夢中になって、目の前のことへの好奇心を失っている。耳が痛いです。
自然に親しむ、目の前の細かいことに好奇心をもつ
そうしたことが、大人への解毒剤になるというのです。
自然がくりかえすリフレイン――夜の次に朝がきて、冬が去れば春になるという確かさ――のなかには、かぎりなくわたしたちをいやしてくれるなにかがあるのです
鳥のわたり、潮の満ち干、春を待つ固い蕾、これらも同じことの繰り返しです。繰り返しの中にいやしがある、分かる気がします。
わたしも時々、明治神宮が好きでたまにお参りに行くのですが、大きな森の木々の緑に囲まれると癒やされます。これがセンス・オブ・ワンダーなのかもしれませんね。
リフレイン、周期、決まったルーチーン、決まった習慣、が人間の心と体にいいというのはよく聞きます。
自然に癒やされるというのは、科学的にも正しいような気がします。
まとめ
わたしの3歳の娘が、外に出ると「ちょうちょう、みつけた!!」「ひこうき、とんでる!!」としょっちゅう絶叫します笑
子供はいつも「センス・オブ・ワンダー」を持っているのですね。
この本は60年前の過去から現代に向けたメッセージに感じました。
「大人は子供に学べ」と。
著者の強い思いを受け取った気がします。
疲れたすべての現代人に、この本をおすすめしたいと思います。