人間関係

「付き合い方の科学」最強の人づきあい戦略とは?

『しっぺ返し』戦略が最強!

これが、この本のメッセージです。

今日は、『つきあい方の科学:バクテリアから国際関係まで』R. アクセルロッド(著)を紹介します。

本書は人付き合いの「戦略」が学べる本です。

以下の疑問から、本書は始まります。

他人とのつきあいを続けていくうえで、相手に協調すべきなのはどんな場合で、自分本位にふるまうべきときはいつだろうか。」

この疑問に本書は答えてくれます。

著者は、コンピュータープログラムにあるゲームを対戦させることで、人付き合いにおいて最強の戦略を見つけ出しました。

それは、『しっぺ返し』戦略というものです。

『しっぺ返し』戦略のルールは以下の通りです。

『しっぺ返し』戦略のルール

  • 最初は協調行為をとる
  • 2回目以降は、相手が前の回にとったのと同じ行為を選ぶ

これだけです。非常にシンプルです。

ゲームのルールは以下です。

ゲームのルール

  • "協調"と"裏切り"の2つの行動を選択して、自分のポイントを最大化することを競う
  • お互いに協調しあうと、双方に3点
  • 相手を裏切ると、裏切った方に5点、裏切られた方に0点
  • お互いに裏切ると、双方に1点

以上のルールです。

これを14のコンピュータープログラムに1対1の対戦ゲーム形式で、総当たり方式で対戦させました。

相手を出し抜こうとする『裏切り』戦略や、ランダムに行動を変える『でたらめ』戦略、また、常に相手に協調する『協調』戦略も、勝てませんでした。さらに、もっと複雑な行動ルールを持つプログラムもありましたが、『しっぺ返し』戦略が優勝しました。

相手に裏切られたらすぐに裏切る、相手が協調してくればこちらも協調を続ける

『しっぺ返し』戦略が最強だったのです。

14のプログラムの中で、最も単純なプログラムである『しっぺ返し』戦略がもっとも高い得点をあげたといいます。

それでは、『しっぺ返し』が強いのはなぜでしょうか?

『しっぺ返し』はなぜ強いのか?

『しっぺ返し』が強い理由は、「相手から搾取されない結果として、利益を享受しているから」だといいます。

それは次の3つの条件があるからです。

3つの条件

  1. 『しっぺ返し』をとる相手と出会う可能性は、世間にいくらでもある
  2. 一度出会えば、すぐに相手が『しっぺ返し』かどうか見分けられる
  3. 一度見分けがついたら、『しっぺ返し』からは搾取できないことはすぐ相手にわかってもらえる

『しっぺ返し』の強さは「自分の態度のわかりやすさのため」だといいます。

重要な点は、裏切られたら即座に反撃することです。

ただちに仕返しをすることで、裏切りが割に合わないことを相手にすぐわからせることができます。

裏切ってくる相手には搾取を許さず、なおかつ協調できる相手とは互いに長期間にわたり利益を享受できるのです。

マイナスは最小化し、プラスは最大化することができる。

だから、結果的に『しっぺ返し』戦略が最強なのです。

「裏切り」のデメリット

『しっぺ返し』が強い一方で、「裏切ること」「搾取すること」のデメリットも説明されています。

まず、こちらから先に裏切ることのリスクです。

相手が黙って搾取されてくれればいいですが、相手が意固地に報復する規則だった場合、大変なことになります。

ひとたび報復の応酬が始まると、その泥沼から容易に抜け出せなくなる」からです。

一度裏切ったら、相手も報復で返してくる、それにまた報復する、さらに報復が返ってくる。

この繰り返しが延々続いて、抜け出せなくなります。

先ほどのゲームのルールに照らし合わせると、

報復行動をお互いにしている間は、1点しか得点できないわけです。

報復し合って1点ずつを積み重ねている間、

おなじ時に、協調している他のプレイヤーは3点ずつ重ねているわけですから、差は広がるばかりです。

これが、裏切ることのデメリットです。結果的に自滅していくのですね。

ちなみに「"倍返し"」はしない方がいいかも

『しっぺ返し』戦略とは、「裏切られたら裏切り返す」戦略だといいました。

なんだか「やられたらやり返す。倍返しだ!」みたいですね。

半沢直樹の有名なセリフですが、

「"倍返し"」、つまり倍にしてやり返してもいいのでしょうか?

答えは、倍返しはしない方がいいです。

本書では、「はてしない応酬を避けるためにも、その対応はあまり厳しすぎてもいけない。」といいます。

激しく反撃すると、相手もますます激しく応酬してきて終りが見えなくなります。

しかし、少し控えめに怒りを抑えれば、どこかで反撃の応酬が終わります。

そうすれば、お互いに仲良しとはいかなくても、一種の安定な協調関係を結ぶことができるかもしれません。

少なくともそうなる余地が生まれます。

まとめ

以上、R. アクセルロッド(著)『つきあい方の科学:バクテリアから国際関係まで』をご紹介しました。

ここまで読んできて、気がついたことがあります。

それは「協調行動が取れる集団にいることで利益が最大化される」ということです。

いくら『しっぺ返し』戦略でも、出会う相手がみな「裏切り者」ばかりの集団では、

『しっぺ返し』で自分も報復行動の泥沼にハマってしまいます。それでは、スコアは伸ばせません。

反対に、みなが協調行動を取れる集団に入った場合どうでしょうか?

自分の協調行動に相手も答えてくれるわけですから、協調行動の循環で果てしなくスコアが伸びていきます

これは、職場にも当てはまるのではないでしょうか。

協調関係を結べる人が多くいる職場こそ、多くの利益を出せる職場ではないかと思います。

自分の経験から考えても、スキルがあっても協調性のない人は、どこかで成果を出せなくなる印象です。

自分も明日から、最強の『しっぺ返し』戦略を胸に秘めて生きていきたいと思います。

『しっぺ返し』戦略

  • 最初は協調行為をとる
  • 2回目以降は、相手が前の回にとったのと同じ行為を選ぶ

人とのつきあいに悩むすべての人に、本書をおすすめします。

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