今日は、『ワークマン式「しない経営」―― 4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』土屋 哲雄 (著)を紹介します。
この本は「ワークマン」の経営の強さが分かる本でビジネスマンの勉強になります。
気になった点をいくつか紹介して解説します。
製品単価は「絶対に上げない。むしろ下げる」
ワークマンの小濱社長に成長が鈍った場合の製品単価について聞くと、
「絶対に上げない。むしろ下げる」と言ったそうです。
ワークマンの企業理念は「機能と価格に新基準を実現し生活者の可処分所得を増やす」というものだそうです。
「生活者の可処分所得を増やす」というビジョンを掲げているからこそ、価格を上げないと言い切れるのですね。
このビジョンにわたしは、感銘を受けました。
一般的にアパレルの粗利率は70-80%であるところ、ワークマンは35%だそうです。
粗利率が低いということは、原価率が高いということです。
つまり、お客さんが買う値段に対する原価の割合が高く品質が良いということです。
昨日のダイソーの話にも通じるものがあります、質の良い物を手頃な価格で販売するのはワークマンも共通しているようです。
アパレルは効果価格製品にシフトしているが、ワークマンではそれはやらないといいます。
粗利率の高い商品を売ると儲けは出るが、景気が悪くなるとお客が離れてしまうからです。
値札を見ずに買うお客様との関係こそが大切なのです。
余計なことはしない
本書『ワークマン式「しない経営」』の著者でもあるワークマン専務の土屋さんは、三井物産出身の元商社マンです。
そこで学んだのが「余計なことはしない」という哲学だそうです。
三井物産のような大手商社は大企業です。
大企業には多くの優秀な人材がいる一方で、大組織であるがゆえの無駄な仕事も多かったそうです。
「膨大な稟議書や資料作成、10以上の部署への事前根回しと社内接待」もあるそうです。
こういう「対外的には価値を生まない内向きの仕事」を、その後の仕事ではなくそうと決めたようです。
アマゾンが嫌がることを徹底的にやりきる
土屋さんは「多くの小売にとって最大の敵はアマゾン(Amazon)だ」といいます。
ワークマンにはAmazonに負けない3つの柱があります。
①定価でアマゾンに負けない
②配送費でアマゾンに負けない
③販促費をかけない
①については、価格が同じならワークマンのほうが高機能であり、機能が同等ならワークマンのほうが安いそうです。
②については、配送をしないで原則店舗受取を勧めるといいます。有料で配送も対応していますが、そのお客は残念ながらあきらめるといいます。配送込みではアマゾンに勝てないからです。
こうした選択と集中も戦略的で勉強になります。
他にもあった気になる名言
私は意見を変える能力が高い
これは名言だと思います。
まわりの社員の人の意見を組み上げることで、専務である自分のアイデアを否定される場面があり、自分に言い聞かせているそうです。
わたしも組織のためなら「自分の意見は気持ちよく取り下げられる」人間になりたいと思います。
年数回だけでも、本当に価値のある人に会って話を聞く
わたしは本が好きでビジネス書ばかり読んでいますが、実際に一流の人に会って話を聞くことも大事だと思います。
今後は、そういう機会を作っていきたいです。
(日本企業にとって)「頑張らない」は重要なキーワード
第7章の早稲田大学の入山先生と著者の対談で、入山先生の発言です。
入山先生によると、経営で一番重要なのは「しない」ことだといいます。
「しない」とはやりたいことが明確であるということ。
選択と集中、シンプルにする、一つに絞る、というのはダイソーやサイゼリヤの成功法則でも同じことを言われていました。
普遍の真理なのかもしれません。
日本企業の従来のやり方は効率が悪いから、「頑張らない」は重要なキーワードだといいます。
経営が変わり「頑張らない」でできると、部下は自分のやりたいことができる。
すると内発的動機が上がり、生産性が上がるのだそうです。
たしかに、社員一人ひとりが内発的動機で仕事に取り組んだら、
ものすごい成果が出そうです。
まとめ
以上、『ワークマン式「しない経営」―― 4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』土屋 哲雄 (著)を紹介しました。
ワークマンの頑張らない経営というのが勉強になります。
シンプルにする、余計なことはやらない、選択と集中、らしくないことは捨てる。
こういう哲学はすべての起業の成功やビジネスマンの仕事にもつながると思います。
すべてのビジネスマンに本書をおすすめします。